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■野良と雨傘 

調子乗って食べまくってお腹が壊れました、紅葉です!

 体重とか気にしたほうがいいのかもしれませんが、最近食欲が止まらないです。
 運動? 私とは無縁ですね。
 一時期、腹筋割ってみたい!という変な憧れで毎晩寝る前に腹筋をしていたのですが、結局何も起こらないうちに飽きましたね、はい。
 
 さて、今回は覚えていらっしゃる方、いますかね・・・?
 久々に野良シリーズです。
 良かったら目次から飛べるようになっているので、どうぞ。→目次
 三男のお話です。
 今回は一話だけといいますか・・・、短いです。
 それでもいい、という方は、どうぞ。

《必読》
 この先の文章は、書く事に不慣れな人物が書いたものです。
 下手な文章が苦手な方、誤字脱字が許せないという方は、読まないことをおすすめします。
 ・・・コメントで教えてくださると嬉しいです!






野良と雨傘



 雨の日だった。雨音で、外の世界から閉ざされている。小さい箱の中で、膝を抱えて。まだ幼かった少年は、ただ怖い記憶から意識をそらすこともできなかった。

 三番。それが自分が与えられた名前ではなく、管理番号だということをもう理解はしていた。先にどこかへやられてしまった一つ下の弟はどうしただろうとか、残してきた大切な仲間のことだとか。必死に考えを巡らすが、まぶたに浮かぶのは彼らの顔ではなかった。
 四番目と双子だった彼は、片割れがいなくなってつきものが落ちたようになった。長生きはできまい、と、そうそうに施設に放り込まれた。体力もなければ筋力もない、彼にとってそこは地獄だった。

 一日目、ひたすら何かの検査をさせられた。
 血液から取れる情報、知力、運動神経、諸々。
 基本荷物のように扱われ、腕や足を抑えているバンドのようなものは外されることがなかった。
 二日目、また検査が続いた。
 午前中あたりに終わり、安心した隙に捕らえられた。
 それからの記憶こそが彼を蝕み、壊している。

 焼きごてが当てられ、逃げ出すすべもなく。どんなふうに自分が固定されていたのかは、全く記憶が残っていなかった。
 ただ、肩にひどく燃えるような痛みがあったこと、頬のあたりまで少しでも近づけば焼け焦げてしまいそうな灼熱が届いたこと、取り囲む人が皆無表情だったこと。逃げられなかったことを、覚えていた。

 怖い、痛い、熱い、殺される、怖い―――。
 少年は、膝を抱える手に力を込める。叫び出したかったけど、勇気が出なかった。
 ここはなんでこんなに暗いのだろう。狭いし、薬剤の匂いしかしない。かろうじて彼から見えるのは箱に小さく空いた穴から漏れ出す、光だった。よく見れば青い、朝、なのかもしれなかった。

―――精神状態に異常が見られます。優先的な処理が必要とされるでしょう。
―――ならば、明日でいいだろう。結末は同じようなものだ。成功したところで―――。

 ずっと前なのか、それともついさっきなのか。少年にかろうじて聞き取れた会話。きっと明日になれば良くも悪くも全て終わるだろう、そう思って少年は一切の抵抗を諦めた。
 せめて一度、一度は小さい兄弟たちの笑顔を見てみたかった。施設に入ってから、赤ん坊ではなくなった者たちはあの部屋に移された。その後何度か追加された兄弟の笑顔を、見たことが一度もない。
 ほんの少しだけ、なぜだか降って湧いた衝動に駆られて、少年は光が漏れ出している穴から外を覗いてみた。
 すりガラスの窓。そこから漏れてくる綺麗な青色は、やっぱり朝が来たことを告げているようだった。水に打たれる窓の向こう側の、植物の緑の合間に時々赤いものが姿を見せる。
 ―――なんだろう。
 少しだけ気が紛れて、さらに身を乗り出す。
 しばらく凝視すると、だんだん赤色が何かがわかってきた。
 自分と同じくらいの小さい女の子だった。肩のあたりで切り揃えられた髪を楽しそうに跳ねさせて。赤色の傘をさして水たまりを飛び越え遊んでいるらしい。
 ―――いいな。
 ぼやけて見えない女の子の瞳は、きっと愛らしいに違いない。自分がきっとしているであろう澱んで濁った目とは全く違うんだろう。
 少しだけ覚めない悪夢のような感覚から逃れられた気がした。

 ―――ああ、でも。
 少年は考える。
 ―――僕なんかがきれいな人に憧れてはいけないんだ。誰を愛す資格もないと思う。兄弟たちはみんな才能とか、優しさだとか持っている。自分にはない。
 いつだったか言われた言葉、ああ、それは母のものだったろうか。
『何かをもらいたい時は、相応の代償とか、交換できるものがないといけないよ』
 自分は何にも持ってない、というと、だったら仕方がないんじゃないの、と当然のように返された。
 ―――何も持ってないのに、楽しさをもらっちゃきっとダメなんだ。そんな資格は僕にはない。兄弟からも、一方的にもらってばかりだった。返せないのにもらうなんて、そんなのはしてはいけないことなんだ。
 なんとなく、赤い傘から目を離せなかった。一枚の写真のように見えた。とても楽しそに見えた。
 ―――もらってばかりだった、ダメな自分にはちょうどいい終わり方かもしれない。
 思いつくと、さっきまで頭の中でぐるぐると回っていた記憶も、仕方がないことだったのだと納得できた。
 ふぅ、と吐き出したいきと共に、体の力がするすると体外へ抜けていく。糸がほどけていくように。まぶたが落ちて、もう何も見えない。
 感覚だけしか残っていないのを感じて、少年は、これが死ぬってことなのかな、と思った。
 朝だった。雨が降っていた。施設の係員が動き出したのを合図に、彼は赤い傘に別れを告げた。
 スルリ、最後の結び目が解かれて比べ物にならないほどの暗闇が彼を包む。感覚さえ失って、糸になったままふらりと漂う。

 カチャリ、研究室のドアが開かれた。小さく暗い箱の中で彼は、もう身じろぐことさえすることはなかった。















 反省はしてます・・・。
 でもね!?
 私に恋愛がメインの小説を書かせるってなるとね!? (リクエストはもちろんとっても嬉しかったです!!)
 糖分の過剰摂取になるんですよ!
 私が書いたものではそんなに甘さは表現できないけれど!
 ・・・中和剤だってことにしてください。


紅葉でした!
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